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   インタビュー 『戦線スパイクヒルズ』の舞台裏 05.06.27  
   
   
 

―― 漫画化に際して心がけている点は?

井田:『平成トム・ソーヤー』は、盛り上がりどころがたくさんあるんで、一話一話、話にしやすいんです。テーマもヤング誌を読む世代に受け入れられるものですし、とても連載漫画化に向いている作品だと思います。だから中身はあまり変えることなく、いいところをそのまま漫画に生かすようにしています。

石橋:ただ、漫画っていうのは、毎回20数ページしかないじゃないですか。そうすると原作の盛り上がりどころまでたどり着かない場合もあるので、そのときは井田さんなりの盛り上がりどころを作ってもらうようにお願いしています。キャラクターも、原作と漫画とでは少しずつ変わってきていますね。

井田:特にノムラノブオは、どうしても変わっちゃいますね。原田さんもおっしゃってましたけど、ノブオって、原田さんに近いキャラなんですよね。分身みたいなもので。だから(井田ヒロトが)漫画化すると、ちょっと違うキャラになってしまいます。

石橋:そうなんですね。スウガクやキクチは、主人公グループとはいえまたちょっと事情が異なる。原作のノブオは、原田さんの人格が色濃く反映されていると思うんです。『戦線スパイクヒルズ』では、もちろん原作を元にはしているんですが、井田さんが描いている以上、今度は井田さんの人格の部分が反映されてくるのかな、と思います。

井田:だから、ノブオが一番描きにくい……。一人称視点で、もっとも掘り下げて描かなきゃいけないキャラなのに、原作のノブオと井田ヒロトの性格が全然違うんで……。試行錯誤しながら最初は描いてましたね。そのうち「原作のまんまを描いても仕方がないし、自分の描けるノブオでいこう」と思えるようになって、いまのノブオになりました。

―― スウガクは原作に比べ、とてもキツイ感じになっているように思いました。

井田:スウガクは、原作だともっと普通の人っぽいじゃないですか。しゃべり方も、普通の少年。漫画にする場合は、もう少しはっきりしたキャラにした方がいいと思いました。「こいつは徹底的に怪しくしてしまおう」と(笑)。ここまでキャラクターをはっきりさせると、描きやすいんです。恐い目つきがなかなか描けなくて苦労してますけど。

―― スウガクの家庭環境など、原作では少ししか語られなかった部分も、踏み込んで描写されています。

井田:原作には、消化されていない伏線が結構あるんです。やっぱりノブオの視点からの物語だから、語られないまま流れていかざるをえなかった部分があると思うんです。それがスウガクには特に多いように思って。漫画にする以上は、そういう部分をもう少し掘り下げて描いていきたいと思っています。だから、これからスウガクの話が多くなっていくこともあるかもしれませんね。もちろん、ノブオもスウガクもキクチも、それぞれに興味があるキャラですけど。

―― キクチはとてもかわいく描かれていますね。

井田:キクチはもう、ほんっっっとにかわいく描かないと、すぐ直しが入る(笑)。「死んでもかわいく描け!」って注文されています。いままで、「井田ヒロトの描く女の子はかわいくない」っていうのが定説だったんで、連載が始まる前に、女の子はすごく練習しました。

石橋:原作で、キクチはとにかくかわいい、という感じで描写されているのに、絵にしたときにかわいくなかったら説得力がないんで……。結構キビシイことを言ってるとは思うんですが。

井田:男の子を殴ったり蹴ったりする女の子ばかり描いてきたんで、こういうかわいい女の子って描いたことがなくて(笑)。勉強させてもらっています。あと個人的には、ちさと婆さんが大好きなんですよ。過去にいろんなコトがあった人なんだろうな、と。背負ってきたものが多いキャラクターを描くときって、そういう背景を考えつつ描くので、すごく楽しい。シワを描くのも好きですし。ヘンにリアルになっちゃいますね(笑)。

石橋:原田さんから、「ちさと婆さんの外伝とか描いたら?」といった提案もいただいてます。

井田:主要キャラクター以外では、カッパがすごく好きです。カッパって原作の前半でちょこっと出てくるだけなんですけど、漫画の方ではもうちょっと出番が多いと思います。

石橋:たぶん今後大活躍しますよね、カッパは。

井田:彼は原作では自分に一番近いキャラなので、描きやすいんですよ。

 
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