原田宗典 作品リスト

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ススメル男

『暢気眼鏡・虫のいろいろ』

短篇集です。学生の時読みましたけど、再読です。一時代前はよく教科書に載っていました。村長も「虫のいろいろ」は、教科書で最初に読んだ記憶があります。ところが、教科書や、参考書や、問題集に出てくる「虫のいろいろ」っていうのは、作品の一番最後の部分が掲載されているんです。その前があったんだっていうことを初めて僕は知りました。

その最後の部分っていうのは、尾崎一雄がぼーっとしていると、蝿が飛んできて「んっ?」と眉を上げたら蝿が額のシワにはさまっちゃって捕まえた、というシーンなんですが、実はここに至るまでには非常に重たい話があったんですね。蝿の前に、蜘蛛の話と蚤の話がありまして、ここを読まないと最後の蝿の話の面白さが出てこないんだ、というのが今回再読してわかりました。ただの虫のことを語りながら、人間の生死のことを語っています。非常に深い小説です。

そして「暢気眼鏡」は、芥川賞をとっているんですね。僕は今回読んでみて、驚きました。ひっじょうにいい加減な小説です(笑)。「これで芥川賞とったの? ウッソでしょー!」って、みんな言いたくなると思います。「それ反則でしょう? 尾崎先生!」っていう手も使っています。昔の、文学が一番元気がよかったこの時代のものっていうのは、やみんな、実験的にいろんなことやってるんですね。むしろ今、平成のこの世の中で、新しい時代の小説に慣れているはずの僕らの方が、ずっと保守的なんだなあ、と感じました。

『暢気眼鏡・虫のいろいろ』 【著】尾崎一雄・【編】高橋英夫 岩波文庫 ISBN:4003115716

 

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