はらだしき村 | 原田宗典 公式サイト

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芝居小屋

昭和21年、まもなく開演――壱組印座長・大谷亮介インタビュー

『ピースの煙』の上演を間近に控える壱組印座長・大谷亮介さんに、お話を伺いました。

 

剛直さんが過ごした「昭和21年」を、体験してもらいたい

――今回の芝居は、原田宗典村長の父・原田剛直(かたなお)さんの体験がもとになっているということですが。

昭和21年、満州から引き揚げ、東京へと出稼ぎに出た剛直さんの体験が中心です。原田君、そして剛直さんご自身の話を聞いていると、悲惨な場面も数々あるはずなのに、なんだか常に楽しそうなんです。そこに剛直さんの自由な精神というか、生きるうえでの知恵、現実を楽しむ姿勢みたいなものを感じました。

戦争をテーマにした小説や戯曲はたくさんありますが、運命に翻弄されること自体を楽しんでいた剛直さんのようなタイプは、これまで、あまり描かれてこなかったように思います。でも、実はこういう日本人も結構多かったのかもしれない。僕たちが演じることによって、剛直さんが見聞きしたことを観客のみなさんも体験したような気持になってもらえればと思います。

――昭和21年。大谷さん自身が生まれる少し前の時代となります。

剛直さんをはじめ、現在70歳以上の、戦争を少しでも体験している方々は、精神的にも物質的にも、僕らよりもはるかにすごい苦労をされてきたわけです。そうした方々のエネルギーに触れるだけで勇気づけられることを僕らは知っていますし、実際にいろいろなことを教わってきましたよね。

だからこそ、今度は僕らが、親や先輩から教わったことを次の世代にも伝えていきたい、伝えていかなければならないという思いはあります。これは原田君も同じじゃないかな。

夏祭りに出かける気分で、お越しください

――演じる俳優陣は、壱組印に初めて参加される客演の方が多いですね。

前々から注目していた方々に声をかけ、集まっていただきました。終戦直後、物がまったくなくて腹ペコだっていう雰囲気を、舞台に立った瞬間から醸し出せる方々です。こんなこと言うと「オレたちはそんなに貧乏くさいのか」って怒られてしまうかもしれないな(笑)。ベテランの方が多いですから、僕や原田君がイメージする以上の瞬間が生まれる予感があります。

――今回、草野徹さんが出演されませんが。

草野君は別の芝居に呼ばれていたこともあり、日程的に出演は難しかったんです。その代わり「実行委員長」として、開演の挨拶などをやってもらいます。だいたい受付にもいると思いますので、ファンの方はご期待ください。いちおう、うちの看板役者なんで(笑)。

――昨年まで毎年上演していた新宿THEATER/TOPS(2009年3月閉館)から、下北沢ザ・スズナリに場所を移しての公演となります。

スズナリは、演劇がいまのように若者の人気を得る前から一生懸命やっていた小劇場です。イチからやり直そうとしていた時代の日本を描く今回の芝居と、似通った雰囲気があるように思いますね。ぴったりの小屋に恵まれたと言えるんじゃないでしょうか。舞台の形状にも工夫を凝らしていますので、ご注目ください。

――最後に、はらだしき村の村民にメッセージを。

イメージとしては、田舎の神社の境内で催される見世物のような舞台になると思うんです。だから、夏祭りに出かける気分でお越しいただければと思います。よろしくお願いします!

2009年7月19日収録

 

大谷亮介(おおたに・りょうすけ)
1954年兵庫県生まれ。オンシアター自由劇場に入団。『上海バンスキング』『もっと泣いてよフラッパー』などに出演した後、85年東京壱組を結成、『愛は頭にくる』『箱の中身』『火男の火』ほか、全作品の演出・出演を務める。

96年の劇団休止後も、原田宗典とのコンビで『原田宗典アワー』(2000年ほか)、『劇的人生劇場』(02年)に出演。2003年に草野徹・大塚健司とともに壱組印を旗揚げし、『小林秀雄先生来る』(03年、08年)、『私は後悔する』(04年)、『種の起源』(05年)、『やや黄色い熱をおびた旅人』(07年)を上演。そのすべてで演出・出演。