
【単行本】角川書店 2001/06 ISBN 9784048733133
これはタイトルとは逆で、先に書いたのが『彼女の人生の場合』で後に書いたのが『彼の人生の場合』です。
『彼女の人生の場合』は1999年の9月、鬱でしかも歯が痛い僕に知人が「おばあさんだけど面白い歯医者さんがいますよ」と教えてくれたのがきっかけでした。教えられた歯科医院を訪ねてみると74歳だったかな?現役の歯医者さんがいて、彼女は長崎で被爆経験があるのですが、とにかく凄いパワーの持ち主でした。あんまり凄いので僕はその場で鬱が治ってしまった程です。その後何度も通ってその先生と色々話をしていくうちに僕はとても勇気づけられまして、この先生の話をそのままお芝居にしたら僕が貰った勇気をみなさんにも伝えられるんじゃないかな……と思った次第です。
一方『彼の人生の場合』は2000年になってから、やはり鬱で落ち込んでいる時に観たNHKのドキュメンタリーが元になってできたお話です。それは昭和40年代に『あるぜんちな丸』という船でブラジルへ移民する人々を取材したものだったのですが、驚くべきことにそのドキュメンタリーは移民した人たちのその後を10年、20年、30年と追い続けた人生の記録だったのです。言葉さえ通じない異国の地で運命に翻弄されるようにして生きていく人々の姿を観て僕はおおいに励まされまして、このようなお話を書いてみたわけです。
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