
【文庫本】角川文庫 2004/02 ISBN 9784041762162
角川文庫より、文庫オリジナルとして発売です。書き下ろしも入っています。表題作の「何の印象もない女」は、『ゆめうつつ草紙』の単行本に載っていたんですが、文庫には入っていませんでした。よく朗読会で読んでいて、人気のある作品です。あと、「無意味な季節」というのも好きですね。「九つの物語(ナイン・ストーリーズ)」は、フジテレビの『出会いのストーリー』という番組の朗読のために書いた4本の短篇に、さらに5本付け加えて、ひとつの作品としたものです。アワーでも朗読したことがあります。
「中途半端な街」は少し長い話ですが、『街の物語』にひとつ書いてくれと言われて書いたものでした。ところがあらためて読み返してみると、頭を掻きむしって死にたくなるようなひどい文章だったので、全面的に書き直しました。新しく一作書くのと同じくらい苦労しましたね。
そして、角川の担当編集者に「原田さん、もう、明日入らなきゃ間に合いません!」と涙声で訴えられながらやっと仕上がった「僕の国」というちょっと不思議なお話。これが書き下ろしです。書き始めたのは、4年くらい前でした。やっと書き上がった……。
息子の直弥に「どうだった?」と聞くと、「ん、読んだよ。おもしろいよ。でも、ちょっと怖い」と言っていました。まっとうな意見を述べてくれましたね。「それでいいのだ」と思いました。そういうお話です。しかも文学的なところもあって、室生犀星と、佐藤春夫の詩が出てきたりします。
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