原田宗典 作品リスト

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大変結構、結構大変。


【単行本】集英社 1999/10 ISBN 9784087744329


【文庫本】集英社文庫 2003/06 ISBN 9784087475875

自作を語る

集英社文庫から、好評発売中です。九州の福岡に、岩田屋という老舗の百貨店がありまして、四コママンガのサザエさんとマスオさんがお見合いをしたが、ここのレストランだったそうです。『サザエさん』、最初は福岡日日新聞に連載されていましたからね。そんな由緒ある百貨店に頼まれて、PR誌に2年近く連載したものです。

九州の百貨店なので、ページを埋めるにあたって、九州にからんだ何か、ということで企画を何案か出しました。九州の日本一を訪ねるとか、色々と考えたのですが、最後に追伸みたいな感じで、「原田宗典による九州温泉大紀行」と書いたら、それに決まってしまい、とても驚きました。太っ腹だなあー、と。

で、カメラマンの久山君と、1~2ヵ月に1回、九州に行っては、温泉に入り、その原稿を書く、という仕事をしたわけです。

これを書いていたのは、96~97年です。旅が多い年でした。NHKの『戦争と平和』の取材が97年の夏だったんですが、その時にこの連載もやっていて、世界中回っているのとは別に、九州の温泉も回っていたという状態で、もう頭の中、ぐちゃぐちゃでした。この中の湯布院の回は、アフリカとスイスのジュネーブで書いた記憶があります。ジュネーブから、岩田屋に送ったんです。「アフリカで、湯布院のことを考えなきゃいけないオレって……」なあんて考えていましたけど。不思議な体験でしたね。九州温泉紀行を書く人はたくさんいるかもしれないけど、温泉紀行したその文章を、アフリカで書いて、ジュネーブから送った人は、僕しかいないと思いますね。

そんな忙しさの中でしたから、単行本は、あんまり目も行き届かず、ちょっと荒々しい文章になっちゃっていました。文庫化に際しては、大幅に手を入れました。気に入らない箇所がたくさんあったもので。

『大変結構、結構大変』というタイトルは、実は前からあったものでした。岩波書店の持っている旅館が熱海にあります。もともとは岩波の別荘だったところを、作家のカンヅメ用の旅館にしたのです。そこに行ったのは95年くらい、『百人の王様―わがまま王』を書いていた頃です。とても感激しました。芳名録があって、入っていきなり、「これは、志賀直哉先生お手植えの、ソテツです」なんて言われちゃったりと、文学的な香り漂う旅館でした。「ああ~、こんなカッコいいところで書いているオレの姿を、誰も見てくれない……」と、悲しかった記憶があります。

で、芳名録を見てみますと、もう日本文学全集のようです。大江健三郎、島田雅彦、川端康成……といった人たちがそこで書いているんです。で、僕も何か一筆、と思いまして、宿を発つ前に芳名録に、「大変結構、結構大変」と書いてきました。その言葉がずっと頭に残っていて、この温泉紀行のタイトルにちょうどいいな、と、使った次第なのです。

 

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