原田宗典 作品リスト

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吾輩ハ作者デアル


【文庫本】集英社文庫 2006/01 ISBN 9784087460029

自作を語る

担当編集者より

今回のエッセイ集は、原田村長が各誌・紙に書いた短い作品や、単行本未収録の企画を集めたものです。単行本を経ずに、直接、オリジナル文庫として編集させていただきました。執筆時期はだいたい1998年から2005年までということになります。

そのうちの一章「紐育素描集」はどこにも発表されていない原稿をいただきました。この中で、当時ニューヨークに滞在中だった妹さんについての文章があります。兄としての気持ちが素直に書かれていて、胸を打たれました。その妹さん、原田幸子さんはつい先日、宝島社主催の第一回恋愛小説大賞を受賞されて、デビューなさいました。今回の文庫刊行の時期は偶然ですが、なにかの縁のようなものを感じます。

本書のテーマは、一言で言うと「言葉」そのもの、といえると思います。

巻頭のエッセイ「言葉について」のように、村長が言葉というものに思いをめぐらせて書いた「言葉」たちがはからずも集まりました。

そして、同時に人間同士の関係にも深く関わるものでした。当然といえば当然なのですが、言葉は人が人に向けてつむぐものだからでしょう。上述したように妹さんのこと、それ以外のご家族のこと、知人・友人のことなどがつづられています。とくに亡くなった人々(鷺沢萠さん、中島らもさん)へ贈る言葉は必読だと思います。

この数年間の村長の思索の軌跡をたどれる、と言ったら大げさでしょうか。ですが、編集作業に携わっていて、そのことを強く感じました。そして村長の言葉が持つ「力」を痛感しました。

「言葉の力」などと書くと、どこかの某大手新聞社のコピーのようです。使い古された言い回しかもしれません。個人的な印象ですが、彼等のいう「力」というのは「権力」とか「反権力」とか、ものすごく巨大で(大ざっぱで)、冷たい鉄のような強さをイメージしてしまいます。その善悪は別にしても。

村長の今回のエッセイ(実は今回に限りませんが)にあるのは、そうした顔の見えない巨大な「力」ではなく、たとえて言えば、バイクのエンジンのような「力」だと思います。一人か二人の人間をしっかりとちょっと遠くに連れて行ってくれる、そうした「力」です。

ちゃんとさわることができて、さわったら熱くて、走れば風を感じられて、それに身をゆだねる者に「いい感じ」を与えてくれる、そんな「力」です。人が生きていくのに本当に必要で、過不足のない「力」です。誰も傷つけず、過剰に煽り立てず、静かに勇気を分けてくれる、そういう「力」です。

最近、どこにも行っていないなあ、という方にお勧めします。この中の何編かは、あなたをきっとどこかへ連れて行ってくれるはずです。

担当編集として、本書を刊行できたのを誇りに思っています(これも今回に限りませんけども)。

 

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感想文

言葉に規制のある文章、『言葉について』を読み終えると、
”背筋が、ぴんと伸びる文章。”
という印象を持つ、というのが、私の答えです。

 IV それは詩だった。-シ的フランス日記の中の、
『第四日目 ピュイロール村』で、ホテルのレストランで
ちゃんとした格好の原田さんに対して、
ヘンテコな柄のアロハを着たクヤマさんの、
「お前、えらいちゃんとしとるなあ」の言葉が、
おかしいです^^
 場所はレストランからシガーバーへ。
葉巻をくわえ、ブランデーを飲みながらの語らい。
詩的な時間の流れの中で終わる文章は、やはり、
”背筋が、ぴんと伸びる文章。”
という印象を持ちました。

投稿者 やすぼー : 2006年03月19日 14:50

 

巻頭の「言葉について」について書かせていただきます。
 一言一言、重みのある文章だなぁと思いました。ボクは中三のときに原田さんの『すんごくスバラ式世界』を読んで以来文学に興味を持ち、以後高校の文芸同好会でショートショート小説やエッセイなどを書き続けてきました。初めのうちは手書きだったのが、今ではパソコンのワード機能を使って書いています。原田さんがワープロから手書きに改めたという話を思い出し、ボクも手書きに戻そうかなぁ……と考えていたのですが、やはり書く上ではパソコンの方が便利(推敲の際など)なので今もパソコンで書いています。手書きにも憧れるんですけどね。ワープロやパソコンのない時代って、今と比べ物にならないほど、どの作者も手間ひまをかけていたのでしょうね……。

投稿者 コーイチ : 2007年02月02日 23:53

 

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