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さがや
集英社 瀧川 修様

今回は集英社の文庫編集部で村長の担当をしていらっしゃる、瀧川修さんにお話を伺いました。
―― 文庫『はらだしき村』を出すことになった経緯を教えてください。
今回はわりと初期から、こちらのサイトで連載するエッセイに関しては、単行本を経るのではなく、直接、文庫オリジナルということでまとめようというお話があったんです。できるだけ活きのいいものを多くの人に読んで欲しい、ということです。サイト以外の媒体に発表なさった原稿も溜まってきて、1冊に足る量になったので、さあ、出すぞ、と。だったら新春初荷ということで、めでたく行こう、となりまして、発売日は2003年1月17日予定です。
―― サイト『はらだしき村』をご覧になった感想は?
非常に面白いサイトだと思います。作家さんのサイトというのは、作家さんご自身がやってらっしゃるものとファンの方がやってるものと、2通りありますが、『はらだしき村』の場合、そのいずれでもなくて、原田さんが「村長」さんという立場で積極的にコミットされてる印象があります。読者の方々と原田さんが親密につながってる、暖かい感じのするサイトだと思います。この「村」形式というのは非常にうまいな、と思いますね。サイトに限ったことではないんですが、原田さんのこういう「名付け」のセンスはさすがだと思います。ものごとに、ある「名前」や「形式」をあてて、新しいものを創り出す才能は素晴らしいですよね。本作りでも、お仕事をご一緒させていただくたびに、編集者としてとても勉強になります。
―― 『はらだしき村』の企画会議のときも、村長が「あれやろう、これやろう」とドンドン提案されるんですよ。
なるほど。こうしてサイト制作に関わっている助役のみなさん、そして他社の担当編集の方々もそうだと思うんですが、原田さんに触発されるというか、いい刺激が得られるというか、そういうところがあると思いますね。
―― 村長の担当をされてからどれくらいになるんでしょうか?
文庫の担当者としては、まだ4年くらいですね。その前は、文芸誌の『すばる』で原田さんの担当をさせていただいてました。
―― じゃあ、もう結構長いですね。
まあ、僕よりも長い方もいらっしゃいますからね。中くらい、もしかしたら短いくらいかもしれません。
―― 村長の第一印象は?
大きな人だなあ(笑)、と。それに、シャイなのに、気さくな方だ、と。最初にお目にかかったときも、こちらの緊張をすぐに解いてくださって、すぐに話に入っていけました。そういう部分、とても丁寧に相手の緊張を解くことに気を遣う方ですよね。懐に飛び込みやすいというか。仕事するうえで、非常に気が楽になりました。たぶん、助役のみなさんもそうじゃありませんでしたか?
―― そうですね。「オレに慣れてネ」という言葉が印象的でした。それでは、村長とこれまでにご一緒にされた仕事というのは?
最初に『すばる』で担当になりまして、短編を2本いただきました。「鎌田君」(98年1月号)というのと「八歳の夏のこと」(98年3月号)という短編です。いい作品ですよ。ぜひ図書館で探して読んでみてください。その後『すばる』から文庫に異動になったんですが、そこでも前任者から引き継ぎ、という形で原田さんの担当をすることとなりました。原田さんの文庫担当者としては確か三代目だと思います。『貴方には買えないもの名鑑』以降、この4年の間に出ている文庫は僕が担当してます。うちの分類番号ですと、「は-10-11」以降(笑)。ちなみに『はらだしき村』は「は-10-17」です。
―― 原稿をいただくことにおいて苦労されているところはありますか?
うーん、そうですねえ。まあ、編集者なら誰でも経験するぐらいの苦労は(笑)。とにかくいいものを書いてほしいので、こちらとしても一生懸命待ちます。それは原田さんの持つ書き手としての人徳、だと思います。
―― その原稿ですが、村長は今、手書きで書いてらっしゃいますよね? 手書きの作家さんは減ってきたんじゃないですか?
手書きの方は結構いらっしゃるんですよ。万年筆とか鉛筆とか。だけど筆ペンで書く作家、というのは珍しいですよね。原田さんはワープロを利用されたのも相当早かったはずですが、僕が担当し始めた頃がちょうど移行期で、手書きに切り替えられている頃でした。あの字を見ると「人」が分かる、いい字ですよね。毛筆でありながら、非常に読みやすい。「生原稿もらってるなあ」という感じです。たとえファックスで送っていただいたものでも(笑)。最近はほとんどの方からメールで原稿をいただくという流れになっちゃってますからね。
―― これからの村長に思うことは?
『すばる』の担当の時からずっと、大きな期待をしています。エッセイをお書きになるとほんとにピカイチで、それはこの『はらだしき村』でも示されていると思います。それと並行して短編小説をお書きですが、一読者としては、その短編もまた非常にいいんですよね。最近、『すばる』や『新潮』や『小説新潮』にも短編を載せられてて、それぞれがすごくよかった。特にここ数年書かれている短編はキレがあって、素晴らしいと思います。日本を代表する短編小説家としてもっともっと短編を書いていただきたい、と思います。あ、もちろん長編も大歓迎ですけど(笑)。
―― 最後に文庫『はらだしき村』について、こういうところを読んで欲しい、楽しみにしていて欲しい、というところはありますか?
原田さんのエッセイ集が文庫でダイレクトに出るというのは、久しぶりなのではないでしょうか。文庫の読者には若い人たちが多いですから、そういうみなさんに、サイトと併せ読むことで最近の原田さんの新鮮な言葉や動向がストレートに伝わってくる、できたてほやほやのエッセイ集をお届けしたいなと思ってます。特に今回は、期せずして「家族」ということについてテーマが収れんしていて、じんと来る内容になっています。原田さんならではの家族論としても読めると思います。いい本になってますよ、ほんとに。助役さんを前に言うのも何ですが、これを機会に「村民」を増やすのにぜひ貢献して、名誉村民になりたいものです(笑)。
2002年10月12日 収録



