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芝居小屋

小林秀雄先生「再び」来る――大谷亮介・草野徹インタビュー

『小林秀雄先生来る』の上演を間近に控え、稽古まっさかりの壱組印座長・大谷亮介さんと、新婚ほやほや草野徹さんに、再演にかける意気込みなどについてお話を伺いました。

 

どんな芝居になっていくんだろう? という期待がある(大谷)

――5年ぶりの再演です。再演に臨む気持は?

大谷 初演を評価していただいたからこそ再び演る機会に恵まれたわけですから、いい意味での緊張感がありますね。

草野 やっぱり、プレッシャーみたいなものは感じます。

大谷 僕が3~4月に出演していた二兎社『歌わせたい男たち』も同じく再演だったんですが、「再演」を意識しすぎると力んでしまうので、公演はずっと続いていて、ちょっと長い休みがあっただけなんだと思ったら、気持が楽になった部分がありました。今回も、5年近い休みが明けた、くらいに考えてもいいかもしれませんね。

――7人が集って、稽古を1週間終えて、手ごたえはいかがですか。

大谷 初演から歳月を経て、みなさんそれぞれ、俳優としての技術や柔軟性の上積みがある。どんな芝居になっていくんだろう? という期待がありますね。演出する立場としても、みなさんが積み重ねた経験をうまく反映しなきゃな、と思っています。

草野 僕は、予想外の難しさを感じています。前回の自分の芝居をなぞれないのはわかっているし、もちろんなぞるつもりもないんだけれど、いつの間にかなぞろうとしている自分がいる。変な感じです。

大谷 そうそう、僕も最初の立ち稽古のときはそうだった。初演の動きを身体が覚えてしまっているというか。だから、ふわっとした心持で稽古に臨んでしまうと、心が入っていないのに身体がそれらしく演じてしまう、ということがある。いっぺん初演を忘れて、「自分は何のためにここにいるのか?」「相手に対してどんな感情を抱いているのか?」といった基本的なことを考えながら、演技を組み立て直しています。新しい演技を、身体になじませていく。これからそういう作業を経なければならないでしょうね。

結婚して、よりいっそうがんばんなきゃな、と(草野)

――5年経って、草野さんの場合は演じる文学青年「小林瀧二」との年齢差が、そのぶん広がったわけですが。

草野 年齢差については稽古に入るときに大谷さんにも言われていて、少し意識したんですが、稽古に入ったら忘れちゃいました(笑)。

――逆に大谷さんの場合は、「小林秀雄」先生の設定上の年齢に近づきました。

大谷 そこがまた、難しさが増すところでもあって。小林先生の講演のCDを聴いたり、著書を読んだり、あるいは写真を毎日のように眺めたりしているんですが、あのように年齢を重ね、経験を深め、本当の意味での哲学を論じることができる心栄えには、そう簡単に達せられるものではない。演じるにあたって、これからひと工夫もふた工夫もしていかなければならないと思っています。

――草野さんはご結婚後はじめての壱組印での舞台ですが、期するところは?

草野 うーん(笑)、前からいっしょに住んでいたので、とくに何かが変わったということはないんですが、まあ、よりいっそうがんばんなきゃな、と。

――構成・演出を変更する部分はあるのでしょうか。

大谷 大幅に変えることはないと思いますが、人間関係や場面の転換など、初演を見直して改善を加えることはあるかもしれません。草野君とともにもう1人、劇団員の大塚君も昨年暮れに結婚しましたから、彼の出番が増えるかな。ちょっとだけ(笑)。

――LIVE(6/1、19:00~「原田宗典をおおいに謡う♪」)の一夜もありますね。

大谷 原田君が朗読用に書いた短篇などを、伴奏とともに朗読します。以前から、草野君とはそんな吟遊詩人みたいなことをやってきたんです。過去の代表的な作品に加え、壱組印を旗揚げしてからも、原田君や長岡毅さんが作詞、野田晴彦さんが作曲した楽曲がいくつも生まれています。ゲストの方にもコーラスに入っていただくなどして、壱組印ならではの「文学的ライブ」を催してみようと思っています。

草野 僕もウクレレをいっぱい駆使しまーす。

――最後に、はらだしき村の村民にメッセージを。

草野 結婚後、最初に迎える壱組印の舞台です。ぜひ観に来てください。よろしくお願いします。

大谷 いつもよりも公演期間が短いですから、チケットの購入はお早めに! 5月の終わり、日に日に暑さが増す季節だと思います。津軽の涼しい芝居ということで、デートコースに最適です。涼んでいただいて、観劇後は愛する人との夜をしっぽりお過ごしください。

2008年5月10日収録

 

■プロフィール
大谷亮介(おおたに・りょうすけ)
1954年兵庫県生まれ。オンシアター自由劇場に入団。『上海バンスキング』『もっと泣いてよフラッパー』などに出演した後、85年東京壱組を結成、『愛は頭にくる』『箱の中身』『火男の火』ほか、全作品の演出・出演を務める。

96年の劇団休止後も、原田宗典とのコンビで『原田宗典アワー』(2000年ほか)、『劇的人生劇場』(02年)に出演。2003年に草野徹・大塚健司とともに壱組印を旗揚げし、『小林秀雄先生来る』(03年)、『私は後悔する』(04年)、『種の起源』(05年)、『やや黄色い熱をおびた旅人』(07年)を上演。そのすべてで演出・出演。

草野 徹(くさの・とおる)
1968年青森県生まれ。93年東京壱組に入団。初舞台は『火男の火』。96年の劇団休止まで8作品に出演。2003年壱組印旗揚げ後は全作品に出演。ほか、『劇場の神様 極付 丹下左膳』(05年)、好色必殺時代劇版ミュージカル『URASUJI』(05年ほか)、田園COWBOYS『楽園』(06年)、東京ハートブレイカーズ『アポロ・ボーイズ』(06年)などにも出演。08年、タレントの山田まりやさんと結婚。