
【単行本】集英社 1992/11 ISBN 9784087728811

【文庫本】集英社文庫 1998/02 ISBN 9784087484742
『平成トム・ソーヤー』は、平成に入ってから3年くらい経ってかな? 生まれて初めての、連載として短篇の連作ではなく長い小説として一般紙に月の締め切りで書くという試みで、暗中模索で始めたものです。
話の内容は、ジャンル分けみたいなことをするとピカレスクロマン(悪漢小説)に入ると思うのですが、やっている行いは決してほめられたことではない。簡単に言えばスリですからね。だけれども、手先に超能力のような力をもった高校生を題材として書いてみたらこういうものができました。
話の筋は大まかに決めておいて、あとは登場人物が出てきた動きにあわせて話を毎月作っていったのですが、ただ、月々の読み物としても面白い、その1回だけ読んでも面白いと思えるように30枚に1回くらい山場があるように、花が咲いているようにと思って書いていったので、飽きないで先に進めるようになっています。たぶん3分の1くらい読んだら止まらないんじゃないかな。
これを書くに当たっては、ぼくが生まれた新宿の新大久保近辺をうろうろとして取材し、現役の高校生の高校生活を知るために、担当だったT君の母校、都立某高校に取材に行って、その荒廃ぶりに唖然として声も出ませんでした。
「ああ、こういう感じなんだ今の高校生は。そうか、じゃあ放課後よっぽど面白いことがないとやっていられないよな」と思って、思い切って書きました。だから学校の場面というのはそんなに出てきませんよね。現実の学校の中には描くべきものがぜんぜん何にもない。つまんなそうにしている。規律というものがまったくナシで、まず入って最初の印象がゲタ箱がめっちゃくちゃに汚れている。廊下も汚れて散らかり放題。誰も掃除をしない。「何で学校の掃除を俺たちがしなきゃなんねぇんだよ、カンケイねーじゃん」ていう感じですよ。授業が始まっても、ちゃんと座っているヤツは前から3列目くらいまでで、あとはもうテキトー。座ったり立ったり、他の教室へ出て行ったり入ったり、しゃべったりガム食ったりメシ食ったり勝手にやってました。「オマエたち、何しに学校に来ているんだ。帰れバカヤロウ」と言いたくなるのをおさえるのに必死でした。今だったら言ってたでしょうね。まだ若かったからなあ。
そんなところを取材して書いたのが『平成トム・ソーヤー』です。だから彼らが持っている鬱屈みたいなものもこの中に込めたつもりです。大都会、新宿をモデルにしてますけれど、あの辺を舞台にした冒険、平成時代を生き抜いていくハックルベリー・フィンとトム・ソーヤがこんな風に冒険するんじゃないかな、その冒険の船に一緒に乗らないか、というお誘いの小説でございます。どうぞお楽しみください。
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自分が始めて読んだ長編小説として何気なく心に残ってる作品です。
当時高校に入りたての自分は、この作品の世界みたいにスリルのある、ドキドキしてる人間になりたっかたんですよ。悪友がいて、かわいい彼女がいたり、敵がいたり…。そして今現在、大学4年の自分の卒論に勝手ながら選ばせていただいた作品として、これから死ぬまで何気なく心に残る作品になると思います。
投稿者 94号custom : 2006年05月18日 17:54
ドキドキしながら読んだのを覚えています。特に後半は息つく間もなく、ページを繰るのももどかしかったです。高校生の頃は別段鬱屈もなく反抗期も程々で、ただけらけらと笑っているうちに終わってしまったのですが、読んだ後「もったいないことをしたな~」と、数年前を回想しました。
投稿者 べん : 2006年10月17日 17:28
この物語の主人公達は、なにか生き生きし過ぎているように思います。読む年代、読む人間が誰であっても、彼らはその年齢を変えません。彼らはあくまで高校生です。だからこそ、刹那的な美しさを感じます。私の人生で初めて読んだ長編小説にして、いまだに一番面白い長編小説です。スピード感のある文体、スリリングな展開、読後の爽快感、全てが秀逸だと思います。オススメです。
投稿者 オキタ : 2007年05月15日 19:11
村長の本を、まとめて10冊位買ってエッセイから読み始め、この本は、あの分厚さから
「長編ですよ~。長いです。400ページもあります!」
と言う感じで、本箱に置いたままで、読み始めるのに1ヶ月もかかりました。
でも、「スメル男」同様、読み始めたら一気に引き込まれ楽しく読めました。
冒険物特有の、ハラハラ、ドキドキ、スリル感が面白かったです。
ちさと婆さんのキャラが、とてもよかったので、あっけなく死んでしまったのが、少し寂しかったです。
計画は失敗に終わりましたが、
「めでたし、めでたし」と三人の明るい未来を感じさせ、清々しい気分にさせてくれ、読み応えもあり、読んだ後の爽快感がとても良かったです。
若い頃の遠回りの大切さや、何もしないより、行動して失敗する方が大切で勉強になるんだと、教えてくれる本ではないかと思いました。
老婆心ながら、これを読んで悪いものを吸ってお試しするおバカさんがいない事を願っています。
投稿者 hiropi : 2008年06月29日 22:36